ある県庁所在地のJR駅前。
シャッターを閉めた商店が並んでいます。
しかし、一本通りを隔てると、そこは活気にあふれています。
居酒屋、飲食店、しゃれた喫茶店が並び、その中に魚屋や肉屋、八百屋などが、
新鮮なものを並べています。
その先にはおしゃれな服屋さんもあり、学生や若い人が足を止めていきます。
夜になると、更に人通りは賑やかになり、
飲みに来る人であふれています。
しかし、強引や客引きや、風俗店などもなく
南北約300mぐらいの通りは、安心して歩けます。
この通りの中に雑貨屋さんがあります。
店名に”デパート”と付いているだけあって、なんでも売っています。
入り口には本日の特売品が並び、
店に入ると、冷蔵庫の中には市場で仕入れた野菜
醤油や砂糖などの調味料、
加工食品やお菓子が並んだ奥には、
女性用の肌着が山積みされています。
以前、ここに行ったとき、社長さんから
「あんた、羊羹は好きか?」と言われ、
取り扱いをはじめた羊羹を勧められました。
(ごめんなさい、羊羹一本なんて、とても食べきれません)
その横には、タバコの箱が大量に置かれています。
もちろん、塩もあります(専売公社からの流れでしょう)
3階の倉庫には作業用の手袋が山のように積まれています。
作業靴、作業服などもあります。
作業者向けの油汚れ用石けんの取り扱いは県内一です。
看板には、切手、収入印紙取り扱いと書かれています。
近所には地銀の本店や大手証券会社の支店があり、
そこの人が買いに来るそうです(マジか?)
郵便パストが店先に置いてあり、郵便局から保守費用をいただいているそうです。
(一日一回、雑巾がけをすると言っていました)
建物の2階も他のお店に貸しています。
とにかく、収益になるものはなんでも取り入れています。
ここのもう一つの収益源は、通りのビルの大家になること。
不動産業です。
ビルと言っても新築ではなく、中古。
中古のビルを買ってリフォームし、入居するお店に貸して、
家賃をいただいています。
お店は飲食店が大半。
この通りの人通りが増え、賑わえば、
入居するお店も増え、家賃も上がります。
また、家賃以外にも
割り箸や調味料、野菜などを卸しています。
営業時間前になると、買い出しに来て、必要なものを適当に持って行きます。
支払は、月末払い。
家賃と一緒の請求。
同じものをスーパーで買って、その場で現金で払うよりも資金繰りが楽になります。
買いに来る人を見ていると、若い人たちがほとんど。
どこかのお店で修行して、ここで自分の旗を上げようと、
考えているようです。
この社長さんは大家さんであり、若い人たちの創業を支援しているようにも見えます。
また、通りのプロデューサーでもあります。
ここで、創業したい人はまず最初に、ここに相談しに来るというのもうなずけます。
とはいえ、本人はいたって低姿勢。
買っていただいた方には、”ありがとうございます”を必ず言います。
通りを歩けば、いろいろな人から笑顔であいさつされ、
話しかけられます。
私は、この人は
幸せな人生だなと思っています。
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